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クラブ、ダンス文化が風俗営業法により規制されていく中で、問題を明確化し、さらに規制にどう立ち向かうかについてまとめられた意欲作です。
2012年4月に大阪のクラブ「NOON」が警察の摘発を受けたことをきっかけに書かれたこの本では、クラブにとどまらずディスコ、さらには社交ダンスやバレエ、義務教育で必須となったばかりのダンスについて言及されています。
現行法ではクラブは法律により、いわゆるフーゾクと同じカテゴリーに含まれています。
(かなり大雑把な見解であることをご容赦ください)
でも奇妙なことに一方で学校ではダンスを必修にしておきながら、他方ではクラブなどのダンスを規制しているのが現行法。
ダンスに良し悪しがあるから?
では良いダンス、悪いダンスの定義は何?
法律上のダンスが、もしかして現状と噛み合っていないのでは?
そんな疑問がふつふつと湧いてきます。
僕自身、昨年にダンス規制に反対するLet’s DANCEに署名したこともあり、この問題には関心があります。
当初は単純にダンスを規制することに反対でしたが、この本を読み進めていくうちにより根が深いことを知りました。
クラブが立地する地域住民との断絶や、グレーゾーンで経営していかざるを得ない現状。
全国的な陳情組織を作ることのむずかしさ。
この本の良い点は、突破口となる他業界からの様々な具体的事例に加え、クラブ関係者だけでなく法律家、ミュージシャン、ライターなど多様な関係者の意見を列挙することで、ダンスを多面的に捉えることができる事です。
肯定、否定の意見も対等に扱うことで、ダンスなんて自分には関係ない、どうでもいいと考える人の意見にも一聴する値があるんだなと思わせる部分が多々ありました。
もし自分がダンス大好きなクラブの経営者だったとして、はたしてどこまで風営法に立ち向かうことができるか。
ダンス好きとして一考する価値があるテーマです。