命のルーツ

両親と叔母の4人で、山口県長府にある先祖代々のお墓を訪ねる。
昨年末に父が一念発起し、功山寺(奇兵隊の総決起集会が行われた有名なお寺)にあるお墓を広島の実家のある市営墓地に移設する計画が密かに(?)実行されていた。
ちょうど自分が実家に戻ってくる時期に何故か連動していたので、これも何かの縁に違いないと勝手に思い込み、お手伝いを兼ねてノコノコ着いて来た訳である。
毎年、お盆のシーズンに訪れたことはあれど、冬季は初めて。
山の中腹に位置する墓地は急勾配で、高齢者にとっては大変不便な場所。
コンクリートで床面を固めていない箇所がそこかしこにある為、お盆シーズンには背丈まで伸びた雑草刈りをせねばならん。

これが死ぬほどキツイ。

移設の最大の理由がここにある。
到着してほうきで枯葉を掃き集め、蝋燭とお線香を立てる。
周囲はイノシシが地中に埋まっているミミズを食べる為に、辺り一面ほじくり返して、まるでお百姓が鍬で地面を掘ったかのようだ。
なんなんだ一体これは。
仕方がないので、泥だらけになりながらみんなで地面を踏み固め、石材店のスタッフとお坊さんが来るのを待つ。
こんな山奥にどうやって重機を持ち込むのだろうか、などど叔母と話し合っていたら、キャタピラ付きの手押し車のような重機と共に石材店登場。

おぉ、こんな機械があったのか。

てっきり、ヘリコプターで空から舞い降りてくると思ったよ。
また会おう、明智くん。
ほどなくして若いお坊さんが到着し、お経を唱和開始。
厳粛なムードの中、式(「抜魂式」と呼ぶ)は順調に進む。
読経が終わりお礼を言ったあと、記念撮影。
まずは解体前の写真。

お墓

そして解体中の写真。

お墓の解体2

生まれて初めて見る骨壺は意外と小さい。
一つ一つが自分のルーツなのだ。
蓋の裏には埋葬者の名前が書かれている。
幼い頃、お世話になった父の叔母のお骨も大切に保管されていた。
通称、下関のおばちゃん。
とにかく世話好きで、行く度に下関市内の遊園地やレストランに連れて行ってもらったっけ。
自分の曾々祖父や曽祖母が眠るお墓は、綺麗に解体されて行った。
お墓を解体する現場を見るなんて、恐らく生涯を通じて余り機会がないはず。
そこに出くわすのは、何か運命的なものを感じざるを得ない。
明日は叔父とその息子が来て、父方の親戚がほぼ全員揃う。
明後日の新しいお墓の建碑式(納骨の儀式)に出席する為だ。
久しぶりに会う親戚は元気だろうか。

2件のコメント

  1. 久々にコメします。
    お墓の移設なんてあるんですね。
    不謹慎かもしれないけれど興味深く写真拝見しました。
    確かに今日の私たちが存在しているのもご先祖あってのこと。
    感謝しなくては・・・と思いました。

  2. >ささめyukiさん
    お墓の移設なんて、一生に一度立ち会うかどうか分からないくらい
    珍しいことですよね。お陰さまで、良い意味で「死」について深く
    考えさせられました。

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