Free Free

姜尚中「悩む力」を読む。

いろいろと興味深い記述があったのだが、最も心に残ったのは「自由」に関することだ。
近代以降、現代人が獲得した余りある「自由」は、個人に多大な責任感と不安感と孤独感をもたらす。
このことをマックス・ウェーバーと夏目漱石という二人の近代人の著作を例に、近代的自我を追及して七転八倒する著者の体験を元に紐解いて行くのだ。

読み進めていくうち、大学時代に読もうと思っていたエーリッヒ・フロム「自由からの逃走」を思い出した。
フロムは第一世界大戦で敗北したドイツが平和国家を目指したワイマール憲法を成立させたにも関わらず、なぜナチスドイツの台頭を許したのかを社会心理学的に分析した人。
いわく人は完全なる「自由」を与えられると迷い、権威主義やマゾヒズムに陥りやすいらしい。

自分の解釈では、制限の無い「自由」は人を堕落させるので、束縛されるものを求めるようになる。
それは宗教や古い慣習や法、世間の一般常識であったりする。

何でもやっていいよ、というのはこれはやってはだめ!というルールと表裏一体。
そのことを現代人は個人レベルで模索していく必要がある、ということを言いたいのだと思う。

昔は宗教や慣習などが、日常生活の中で既知のものとして存在していた。
だから「なぜ人を殺しては行けないのか?」という根源的な問いそのものも無かったんだと思う。

でも今は違う。

それを子供から言われた時、大人は理路整然と話せなくてはならない。
そんなの当り前でしょ、で済まないのが現代だ。
なぜ殺してはいけないのかを説明して理解させてあげなければ、子供は本当に理解することはないし、極端な場合、教えられなかったから殺すことにも発展し得る。
「自由」とは何か、「自由」の中にある自分はどのように行動すればいいのか。
これはとても深く考えさせられる本だ。

悩む力 (集英社新書 444C)
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姜 尚中
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