長いトンネルを抜けると、そこは雪国・・・ではなく、三角州の上に出来た見慣れた小さな街並みを見ることができる。
自分が生まれ育った街だ。
そこには淡々とした地方の生活がある。
毎日毎日、お祭りのようなドンチャン騒ぎが行われている都会から遠く離れて、ひとり。
地元の駅に向かう途中に出会う様々な人。
どこか垢抜けない、典型的な地方都市の風景。
関東だったら、どんな土地と似ているかな?と連想し始める。
東京寄りの千葉あたりだろうか。
都内だったらどのビルもピカピカに光っているが、この街のビルはどこかくすんだセピア色。
駅前も閑散としている。
決して何も無いわけではない。
テナントビルもあるし、コンビニもあるし、学校も見える。
ただ、それらの密集度が低いのだ。
横に広くて高い建造物が少なく、詰まっている感じがしない。
都内を散策して見慣れた目には、そんな風に見えるのが不思議。
ここが自分の新しい住処となるのだ。
そう自分に言い聞かせて、家路を急いだ。