クラフトワーク / デヴィッド・バックリー

クラフトワーク
クラフトワーク

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デヴィッド・バックリー
シンコーミュージック
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これは私が15年間在籍していたあのバンドについて
部外者が書いたものの中で初めて読むに値する一冊である。
カール・バルトス(元クラフトワーク)

帯のキャッチコピーもまぶしい、クラフトワークの評伝です。
メンバーの生い立ちから、「Autobahn」をリリースして話題となり、テクノの神様と呼ばれるに至った過程を、メンバーはもちろんのこと周辺関係者への丁寧な取材をもとに丹念に事実を掘り起こしています。

これまでクラフトワーク単体で日本語訳の評伝と言えば、沢山あります。
代表的なものを挙げると、パスカル・ビュッシーの著作「クラフトワーク」や、元メンバーのヴォルフガンク・フルーアの「クラフトワーク ロボット時代」などなど。

今回の評伝で注目すべきは、「The Mix」リリース後、フローリアン・シュナイダーも抜けて、全盛期のメンバーがラルフ・ヒュッターのみとなった体制についても言及されている点です。
2013年の観客が3Dメガネを装着して参加したライブについても、グローバルレベルで記述があり大変興味深い。

ヴォルフガンクとカールの脱退についても、非常に詳しく書かれています。
彼は、「バンド内での役割が終わった」と感じたそうです。
エレクトロニックパーカッションの演奏、ライブでの舞台装置デザインという役割が「Electric Cafe」以降、ライブをしなくなり過去の曲のアップデートに注力する中で存在意義を失ってしまったと述懐しています。

一方カールは、「The Mix」の制作には関わったものの、リリース直前で脱退しています。
過去の曲を焼き直すだけの作業に対し「ジャンボジェット機が庭にずっと待機して飛行しない」と形容しています。
これはファンの間では有名な言葉ですね。

個人的には、彼らがUKのミュージックシーンに多大な影響を与えた点に注目しました。
1980年代初期のニューウェイヴの時代、エレポップやニューロマのアーティストがこぞってクラフトワークに感銘を受け、模倣したり取り込んだりしています。
中でもOMDのアンディ・マックラスキーには頻繁に取材を行ったそうで、デビューしてから後年、ドイツでのライブにクラフトワークのメンバーが観客として来場して大変緊張したことを語っています。
そりゃそうだ(笑)

ヴィサージのラスティー・イーガンがクラブ・ブリッツでのDJプレイリストが載っていまして、これも圧巻。
クラフトワークの他にジョルジオ・モロダー、ヒューマン・リーグ、YMOなどが挙げられていて、ニューウェイヴやニューロマファンの人は必見です!

内容が詳細な分、無機質なロボットと見られがちな彼らのヒューマンな部分の描写も多いです。
とりわけクラフトワークで一番プレイボーイだったと言われるヴォルフガンクの女性遍歴は華やかですね(笑)
この部分を読んだ時、あぁクラフトワークも血の通ったヒューマンロボット(?)だったんだなぁなどと思ったものです。

ちなみに前述の「クラフトワーク ロボット時代」の初版は、より赤裸々なクラフトワークのヒューマンな部分の記述があったそうです。
邦訳版はそれを修正したものが元になっているそうです。
初版を読んでみたい・・・

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