逆輸入女優

田村英里子著『ハリウッド・ドリーム』を読む。

ハリウッド・ドリーム
ハリウッド・ドリーム

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田村 英里子
文藝春秋
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田村さんについて知っていることと言えば、アイドル伝説えり子のモデルになった人で、デュッセルドルフで幼少期を過ごしたアイドル・・・くらいのものだった。
それが最近ではHEROESでマシ・オカさんの恋人役をやったり、実写版ドラゴンボールのマイ役で主演したりと非常に精力的に活動されているので、気になる存在だった。
その彼女の自叙伝ということで買って読んだら、現在の自分の境遇と驚くほど似ていることに気づき、一気に読んでしまった。
日本でのアイドルとしての地位や名声を捨て単身渡米したものの、現地ではまともに英語がしゃべれないし、ハリウッドの映画業界の独特の習慣も知らない、無名の一人の日本人女性。
何度もオーディションに応募するものの、最終選考で落とされ、ついには軽い鬱にかかってしまうほどど追い込まれてしまう。
そんな彼女の人生を一変させたHEROESへの出演。
そしてドラゴンボールへの出演で不動の地位を築くこととなる。
オーディションとはすなわち面接であり、エントリーは履歴書と職務経歴書を提出することと同じ。
面接では何百人もの応募者がいて、自分がいかに優秀か、いかに他人とは異なる個性を持っているかをアピールする。
その中には必ずほんの一握りの採用される人がいて、その他には残念ながら採用に至らない沢山の人たちがいる。
時には絶対にオーディションに受かりたい!と思うような魅力的な作品が出てくる。
田村さんにとっては、『Memoirs of a Geisha』(邦題:SAYURI)がそれだ。
日本人が主人公ということで、日本でも行なわれたオーディションの為にわざわざ日本に帰国したほどの入れ込っぷりだった。
しかし残念ながら願いは叶わなかった。
監督がもっと若い女優を希望していたからだ。
あまりのショックで、しばらくは自宅から出ることも出来なかったという。
本命の企業の面接に向けて死ぬほど準備をして、不採用になったことを想起させる。
あの時に感じた落胆と虚脱感は今でも忘れない。
それを何十回と繰り返し、いくつもの屍を乗り越えていくのは本当に気力と体力が要ることだ。
まるで自分のことのように読み進めることが出来たのは大きな収穫だった。
実写版ドラゴンボールは、当初見るつもりは全くなかった。
しかしここに至り見てみようなかな、という気が起きてきた。

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